こんにちは。運営委員です。
いつも自己発見の会にご理解ご支援ありがとうございます。

私は不登校の子ども(とそのご家族)の仕事をしていました。人を援助する仕事ではありますが、逆に教えられることも多々ありました。ある帰国子女の女の子がいました。海外から帰国して日本の私立の学校に編入しますが、そこになじめず不登校となった子でした。その子が話してくれたことでとても印象に残っていることがあります。編入先のクラスのことを話してくれました。教室の中でクラスメイトはいくつかのグループに分かれており、皆いずれかのグループに所属しているそう。クラスで生きていくためにはいずれかのグループにならない(と彼女は考えていました)クラスメイト達は教室の中では概ねグループでかたまっています。休憩時間や昼食もグループ単位で行われるそう。それぞれのグループは共通の趣味や話題でつながりを保っており、新参者の彼女はアンテナを張り巡らせクラスメイトの会話からそれぞれのグループの特性を把握することに努めました。このことは彼女にはとても重要なことでした。自分を受け入れてくれそうなグループのクラスメイトに無理に話題を合わせたり、本来の自分ではない外向きの自分で過ごしているうちに、教室が段々息苦しくなっていったそう。自分を出すタイミングを逸したとも言っていました。この子は自分の感じたことを言葉で表現する力のある子でした。

彼女はこうも言っていました。日本の学校の教室は見えない壁のようなものがあり、それは自分がそれまで暮らしていたコミニティとは随分違うそう。筆者は他の帰国子女からもこれと似た話を聞いたことがあるのですが、少なからず帰国子女はこの「見えない壁」に阻まれて孤独と精神的疲労から不調になったりします。この「見えない壁」の話は筆者にも感覚的に共感できるものがありましたが、この感覚を言葉に直すことが難しく、表現のできないもどかしさがありました私はこの感覚をもっとクリアにしたいと思い、この子の触れた空気と同じ場所に立って同じ風景を見てみたら、もっとイメージがもてるかもしれないと思いました。そこでこの国に行ってみることにしました。

行ってみると、確かに私にも日本より何かが楽に感じられるのです。自分を包む空気が軽く感じられるというか、、日本と違う空気感がありました。さらりとした湿り気のない空気といったイメージでした。

この体験から、海外から日本を眺めてみると日本人の個性に気づけるのではないかと考えるようになり、機会を作っては積極的に海外に出るようになりました。行く先々で、言葉にはできない日本とは違う空気感に触れました。日本に似た空気を感じたり、日本と対極にいるような空気だったり、行く先により空気も微妙な違いや密度の違いがあるように感じられました。これらはどこからやってくるのだろうと考えさせられました。去年になってからは仕事の都合で日本各地を訪問するようになり、日本国内でもまた土地の空気感は微妙に異なっておりその気配は質的な差や濃淡がありました。この差異とは一体なんなのかを探求することは私の目下の大きな関心事となっています。

私にこのような観点を持つきっかけをくれたその子は、その後インターナショナル・スクールに転校したことが自分を取り戻すきっかけとなり元気に学校に通うようになりました。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
次回もお楽しみに。

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